デュポン・ビルディング・イノベーションは、デュポン℠タイベック®耐候システム、デュポン℠コーリアン® ソリッド サーフェイス、デュポン℠ゾディアック® クォーツ サーフェイス他多くの最先端製品で、建築業者がより効率的で持続可能な建造物を作り上げることができるよう支援します。今年、新しいイノベーションがそのリストに追加されました。排出される埋立廃棄物量をゼロに削減する、というものです。これは大変な取り組みです。2008年のビルディング・イノベーションの15拠点における埋立廃棄量は約3万7千トンでした。これは自動車約1万6,000台分またはトラクタートレーラー1,000台分の積載量に匹敵する量です。デュポン・ビルディング・イノベーションの米州ビジネスマネージャーであるデイブ・ウォルターは、この埋蔵量ゼロ達成に向けたグローバルなシックスシグマプロジェクトチームを率いました。シックスシグマのトレーニングを受けたブラックベルトのウォルターは、Minitab Statistical Softwareを使ってプロジェクト全体で収集された膨大な量のデータの分析と把握を行いました。
課題
デュポンが環境目標を設定したのは20年以上も前のことです。今日、同社はこうした環境目標をビジネス成長と、より安全で持続可能な製品の開発に直結しています。ビルディング・イノベーション部門は、極めて野心的目標に取り組むことを選択しました。3年以内に世界中のすべての製造拠点で埋立廃棄物量をゼロにし、すべての副産物を再利用またはリサイクルする、というものです。
埋立廃棄物をゼロにする(Drive to Zero)プロジェクトは特に複雑なものでした。なぜなら、これにはデュポンだけでなく他社向けの製品も製造している第三者パートナーサイトが含まれていたためです。つまり、プロジェクトチームは、関連する、また関連のない、すべての製造埋立廃棄物を排除するという課題に対処する必要があったのです。このプロジェクトは、ニューヨーク州バッファロー、ケベック州セトフォード、韓国のウルサン、日本の宇都宮、中国の広州、ルクセンブルク、および米国の8カ所の第三者拠点といった世界各地に分散している15カ所の製造拠点とパートナー拠点を対象としていました。
製造副産物、使用不能な原材料、製品スクラップ、建築廃材、さらにはカフェテリアからの廃棄物にいたるまで、すべてがプロジェクトの対象になりました。「総じて、私たちは30以上の異なる廃棄物の流れを調べる必要がありました」とウォルターは語ります。「各流れについて、なぜ廃棄物になるのか、どこから来ているのか、中身は何かといったことを検討する必要がありました。そして最終的に、廃棄物をどのように生かせるのか、プロセスをどのように変更できるかを検討しました。」
プロジェクトの規模の大きさからして、デュポンや同社のパートナーがビルディング・イノベーションのプロセスを再考し、再構築できるようにするため、チームは大量のデータを収集する必要がありました。「最初に手を付けたのは業務のマッピングでした」とウォルターは説明します。「インプット、アウトプット、廃棄物の流れを測定しました。DMAICと呼ばれるシックスシグマの手法を使用しました。DMAICとは、Define(定義)、Measure(計測)、Analyze(分析)、Improve(改善)、Control(制御)のことです。」
Minitabによるサポート
3年間のプロジェクト期間全体を通じてシックスシグマの手法を用いました。世界中の実質的にすべての主要シックスシグマ導入でデータ分析に使用されている統計ソフトであるMinitabに内蔵されている各機能は、チームの目標達成に役立つ理想的なものでした。データ主導のアプローチは極めて重要でした。これにより、チームは廃棄物の排出量だけでなく、どこで、なぜ廃棄物の流れが生み出されるかについて把握することができました。「私たちは、Minitabを使って廃棄物の流れに沿ったステップをマッピングしました」とウォルターは説明します。「それぞれの場所でのデータ収集を行う中で、Minitabを使って線形回帰などの分析を実行し、ボックスプロットやヒストグラムなどのグラフを作成しました。これでデータの意味が明確にわかるようになったのです。」
チームは各拠点を徹底的に調査し、廃棄物の種類ごとに、その廃棄量の排出量、排出場所、排出理由、さらに各廃棄物の流れに含まれる材料をどの程度除去、再利用、またはリサイクルできるかを正確に把握しました。「Minitabでさまざまな要因DOE分析を実施し、品質に対する生産時間と廃棄物価値を比較しました」とウォルターは語ります。「Minitabのデータを分析し、製品品質に影響を与えないようにしながら、プロセスをどのように変更して廃棄物を削減するかを決定しました。」
そのプロセスで、チームは排出された「廃棄物」の量を削減するための驚くべき方法を見つけたのです。「販売できるものを見つけられたのは、とても嬉しい驚きでした」とウォルターは語ります。「たとえば、これまで廃棄されていたCorian®のスクラップ材を利用して造園用の石といったものを販売できるようになったのです」
結果
チームは、3年間のスケジュールの最終月に埋立廃棄ゼロという目標を達成しました。「世界中で排出される最後の約900トンの廃棄物の対処は、最も困難でした」とウォルターは語ります。「しかし現在では、これまで埋立されてきた膨大な量の廃棄物が再利用やリサイクルされるようになっています。」
ビルディング・イノベーションズのプロセスを通じてウォルターのチームが生み出した有益な副産物リストは見事なものです。たとえば、コーリアン®スクラップ材には優れた有用性があることがわかりました。「製造する各シートをトリミングすると、そのプロセスから天然廃棄物が生まれます」とウォルターは語ります。「また、材料のある色から別の色に変える際にも中間材が生まれます。こういった材料を埋立てに回すのではなく、数多くのスクラップシートを粉砕することで、最高級の製品で再利用することができます。そして、残りのスクラップを粉砕して排水用の石として使用することもできます。」
他にも多数の用途があります。コーリアン®やゾディアック®の製造プロセスから排出される研磨廃棄物は、コンクリートの充填材として使用されます。タイベック®ラップとフラッシングトリムは、最高級の素材にリサイクルされます。輸送用パレットは修理して再利用されるか、粉砕して動物用の敷料にします。キャリアベルトフィルムは溶解して、接着剤を作るのに使用されます。ビルディング・イノベーションの施設から出るカフェテリアの廃棄物すら、幼虫の敷料にリサイクルされたり、エネルギーに転換されたりしています。
しかし、このプロジェクトは環境面のメリットがあるだけでなく、財務面のメリットも生み出しています。驚くべきことに、チームはこの使命を達成するのに、まったく設備投資を必要としませんでした。また、ビルディング・イノベーションはわずか1年で、40万ドルのコスト削減を実現しただけでなく、世界的な副産物の販売から220万ドルの収益を上げることができました。
デュポン・ビルディング・イノベーションは、埋立ゼロを達成したことで、マクドナルド®の米国レストラン開発グループから初のサプライヤーサステナビリティアワードを受賞しました。さらに、ビルディング・イノベーションのマーケティングチームは、環境意識の高い消費者の間で、持続可能性に対するビジネスの取り組みを生かし、売上増大に繋げています。
プロジェクトチームは埋立廃棄物ゼロの目標を達成したわけですが、チームは引き続きMinitabを使ってデータ分析を行っています。「当社のプロセス監査において、Minitabは重要な役割を果たしています。」とウォルターは語ります。「毎週数字を確認し、適切な材料が適切なコンテナに入れられていることを確認しているのですが、Minitabのコントロールチャートやヒストグラムなどのツールを使って、収集データを把握しています。Minitabは非常にパワフルで使いやすく、特定の分析や方法のあらゆる面についての疑問にも明確に答えてくれ、非常に役立っています。」
しかし、Minitab Statistical Softwareがなくてもチームが成功したか否かを示す1つの指標があるとウォルターは指摘します。「もはや、廃棄物収集のトラックを工場で見かることはありません。」
顧客
デュポン・ビルディング・イノベーション
概要
- デュポンの13事業のうちの1つ
- DuPont™ Tyvek®、Corian® などの建築ソリューション製造者
- 他社に先駆けて環境目標を設定
課題
世界中の15施設からすべての埋立廃棄物を排除する
使用した製品
Minitab® Statistical Software
結果
- 3年間で約3万7千トンの埋立廃棄物量をゼロに削減
- 副産物の販売により220万ドルの収益を上げる
- 40万ドルのコスト削減を実現
- 設備投資なしでミッションを達成